一晩寝て、足も少し落ち着いてくる。でも、歩き始めると痛み出すことは明らかだ。蓮華温泉へ戻るルートは長いうえ、朝日岳の登りと最後の瀬戸川から蓮華までの登り返しもある。
最も楽な下山ルートは北又小屋経由のルート。コースタイムも5時間程度。登り返し無し。膝には下りの方がきついけど、本当に動けなくなったとき下りなら這ってでも帰れる。
同宿の人や小屋番とも協議の結果、北又小屋へ下ることにする。北又小屋でタクシーを呼び、糸魚川で1泊。その後、糸魚川からバスで車を回収の計画。北又小屋へのルートはこんなことでもない限り多分歩くことも無かろう、これも何かの縁かもしれない。
小屋で一緒になった人も心配してくれて膝のサポーターと鎮痛剤を貸してくれる。こんな山奥まで厳しい装備の中持ってきたサポーターを貸していただけるのはまこと有難かった。 朝、6時過ぎ、小屋を後に、北又小屋へのルートを下り始める。最初は開けた湿原の中の木道が中心。チングルマの綿毛を踏み分けて歩くような気分のいい道だ。
(イブリ山までの快適な道)
振り返れば朝日岳が大きい。足も何とか動く。でも痛い。下山全行程の1/3、イブリ山の山頂から見た朝日岳は特に見事だった。 イブリ山から下は樹林の中の道となる。展望は無くなるけど、樹林を吹き抜ける風は気持ちが良い。
下るに従い斜度は急になる。足の痛みは激しさを増す。痛めた膝の反対(左膝)も痛くなってきた。足を着くときの痛みだけでなく上げるときも痛みが走る。汗拭きタオルで左ひざを縛って歩くがついに動けなくなる。
大休止。右膝に装着したサポーターを左ひざに装着しなおす。効果があるかどうかわからないけど、とりあえず出来ることはいろいろやってみる。まだ、最後の手段の鎮痛剤は飲んでいない。
イブリ山からはイブリ山の頂上を「10合目」とする合目表示がある。最初、その1合とその中間の2回づつ休憩。歩くに従い休憩の頻度が上がる。そのうち15分歩き10分休憩。最後は休憩のほうが長かったかも・・・。
(やっとたどり着いた1合目)
歯を食いしばりつつ歩くこと7時間以上、北又ダムが見えてくる。最後の北又ダムの横の急な階段を登り北又小屋にたどり着く。
(北又ダム、つり橋を渡る)
小屋番のオッチャンがが迎えてくれた「やあ、ゆっくりだったねえ」。朝日小屋から連絡があったとかで、暗くなったら迎えに行くつもりだったとか。まあ、大事にならなくてほっと一息。北又小屋も山深いところ。小屋番のオッチャンとの話も面白かった。機会があれば渓流釣りに来てみたいものだ。
北又小屋からタクシー(9300円)で北陸線泊駅まで出て、糸魚川の」ビジネスホテル(4000円)に宿泊。夕方、糸魚川の居酒屋を探索。糸魚川は何度も車で通過した事はあったけどじっくり歩くのは初めて。魚が美味しい、日本海が美しい、町並みも歴史を感じさせる、と、言うわけでなかなか有意義な放浪とあいなりました。(2009.9.17)
(夕焼けの日本海)