朝6時前に宿を出てことでん長尾線で長尾まで30分。長尾寺で納経を済ませ歩きだす。残すは88番大窪寺のみ。「5キロほど歩くとへんろ交流サロンがあるから寄ったほうが良いよ」と門前の民宿のオバチャンが声をかけてくれた。
へんろ交流サロンでは歩き遍路に結願証明書(正式には「四国八十八ヶ所遍路大使任命書」)、DVD、ピンバッチをくれた。そこで情報収集し大窪寺へのルートを確定した。その時、ベルギー人のオニイチャンとルートに詳しそうなオネエチャンと遭遇。ベルギーの方は野宿道具一切担いだ重装備にもかかわらず、歩き出したとたんにあっという間に置いていかれた。外国人の体力は凄いねえ。
88番大窪寺へは旧へんろ道と女体山越え、車道歩きの三つのルートがある。へんろ交流サロンで得た情報では旧へんろ道は整備が進まず、女体山を越えるルートがお勧めらしい。その情報に従って女体山への山道に入る。前日の雨に清められた木々の緑が美しい。陽射しのある部分は暑いくらいだけど、登りの北側の斜面は木陰も多く吹き渡る風も快適だった。
女体山山頂直下はかなりの急な登りで、くもの巣除けの小枝を捨てて両手を使った登りとなった。途中、高松方面の展望もあって楽しい歩きだった。山頂を越えると急な階段状の登山道をひたすら下る。木々の間から大窪寺の鐘の音が徐々に大きくなってくる。そして、新緑の木の枝の間に大窪寺の屋根が見えた。結願だ。
納経を済ませ、女体山越えでかいた大汗をぬぐい、門前の茶店でビールと釜揚げうどんのささやかな一人打上げ。当初、高松でもう一泊してのんびり帰還する予定だったけど、コミュニティーバスで高速志度バス停まで出て、高速バスで帰ることも選択肢の一つだった。茶店でバス停とバスの時間を聞けば後10分程度でバスが出る。翌日の天気も芳しくなさそうなのでバスで帰ることにする。
そのバス停で、交流サロンで出会ったオネエチャンと再開。彼女も女体山を越えてきたという。彼女は今回でバス1回、歩き遍路3回結願のベテランだという。今からコミュニティバスで高速志度バス停まで出て、高速バスで大阪へ戻るとか。
まあ、行き先も同じなので世間話をしつつ、難波OCATまで楽しいバスの旅だった。難波での別れ際、「これお接待です。一つ余分に買ってしまったから」と大窪寺で彼女が買った「しょうゆ豆」を差し出した。袖触れ合うも他生の縁。初めて会い、名前も知らない若い娘からのプレゼント。嬉しかった。こんなささやかな人とのふれあいが四国遍路の醍醐味かもしれない。「また、どこかで会えたら良いね」と分かれたけど、結願に際してとても柔らかな気分だった。
帰宅後、一杯飲みつつ食べた「しょうゆ豆」はとても素朴で、ソラマメの風味が四国遍路的、もとい、日本的だった。彼女はこの味を味わって欲しいと私にお接待してくれたんだと思う。讃岐の「しょうゆ豆」は私にとって記憶に残る味となった。
◆行動記録
6:21 高松ことでん瓦町
6:51 ことでん長尾(440円)
7:10 長尾寺
9:00 おへんろ交流サロン
11:30 女体山
12:30 大窪寺
12:35 納経開始(納経所大混雑)
12:50 納経終了
釜揚げうどん、ビール
13:30 コミュニティーバス
志度バス停まで土日祝500円
14:32 志度バス停
難波OCATまで3700円
17:30 難波OCAT
チケット屋探すも苦労
難波ウオーク日本橋近辺発見
夕食(餃子、焼き豚、ビール、かき揚げうどん)
19:00 近鉄難波
21:10 近鉄名古屋
◆歩行距離
・ 5.0キロ 87番長尾寺-前山ダム(へんろ交流サロン)
・ 6.6キロ 前山ダム-女体山
・ 1.2キロ 女体山-88番大窪寺
(合計)12.8キロ(累積885.9キロ)
【87番札所長尾寺、納経所ひは「つり銭の無いように」との注意書き】
【途中の「高地蔵」。渋い】
【前山ダムの遍路標識。今回のルートには通常の遍路シールが見当たらない。さらに剥がした後があった。遍路シールになにか問題が発生したのかな?】
【前山ダムのチョイ先で女体山を望む。小さくとんがった先が女体山山頂。地元のオッチャンに聞いたとき「あの切れ込んだ左のオッパイの先が頂上」と言っていた。なんとなく納得】
【来栖神社。山の中にある】
【高度を上げると高松方面が見える。しかし霞んで場所は特定できない。】
【女体山山頂直下の急な登り】
【結願の88番札所大窪寺。納経所は大混雑。納経の所要時間25分。杖を収めるのに1000円。結願証2000円】
【大窪寺のお大師様】
【釜揚げうどんと缶ビールの一人打上げ。しみじみ美味かった。850円ぐらいだったような気がする。質素な食事でも大汗かいた後のビールは良い。】