藤田美術館は大阪にある美術館だが常設展示は行っていない。その代わり今、奈良博物館で展示が行われている。目玉は曜変天目茶碗。テレビで何度も見ているので大体の雰囲気は分かっているつもりだ。でも「本物を直接見ることは大切だ」と偉い方々は言う。素直な私は素直な気持ちで見に行ってきた。雨があがった直後の奈良公園は清々しい空気に満ちていた。外国人観光客が多い。皆さん明るい表情だ。楽しそうな人を見ると私も楽しくなる。
藤田美術館展の会場に入ったとたんに大行列。曜変天目茶碗の列だ。でもこの日の行列は少ない方らしい。見に来たからには並ばねばならない。並ぶこと30分程度かな。やっと曜変天目茶碗の展示ケースにへばりつくことが出来た。
小さな茶碗だ。暗闇に少しばかりの証明があたり濃い青色の斑点が茶碗の肌に浮かび上がっている。隣のオネエチャンから「綺麗だね」との感嘆の声。でも私にはテレビで見た曜変天目茶碗が一番美しく思えた。何せ初めて見た実物はあまりにも小さく、あまりにも暗くて最近加齢により劣化している私の視力にとってはハードルが高い。
まあ、曜変天目はそれくらいにして、次なるターゲットの快慶の地蔵菩薩を見に行った。初めて見た快慶の地蔵菩薩は美しい仏像だ。曜変天目と地蔵菩薩のどちらかをもらえるとしたら地蔵菩薩の方を希望したい。一般的にお地蔵さんは地味な仏様だけど、この地蔵菩薩は美しく華やかな気配がある。さらに言えば色気すら感じる。
今回は曜変天目をチャッチャと片付け、京都博物館の一遍聖絵の展示を見に行く予定だった。JRもチケットも関西線、奈良線、東海道線経由の名古屋、奈良、京都一筆書きルート(ジパングで4090円)。しかし、奈良博物館で予定外の時間を費やしてしまった。
特に今までほとんど興味がなかった経典などをチョイと覗いた弾みでじっくり見てしまった。藤田美術館は明治の廃仏毀釈の時代に仏教美術にこだわって収集したらしく、仏教関係の国宝が多いらしい。当然それらは地味な国宝なんだけれど、よく見ればなかなか美しい。書いてある文字の意味はほとんど理解できないけれど、その文字全体に美しさや緊張感がにじみ出ている。
けっきょく時間切れ。一遍聖絵は次回の課題となってしまった。京都を省いたので時間が余った。猿沢の池を眺めながらイイチコのワンカップを舐めつつ一休み。やっと涼しくなってきた。
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