朝7時半、南光坊から遍路開始。ホテルフロントでもらったサイクリング用ロードマップ片手に56番札所泰山寺へ向かう。街中の歩きが一番疲れる。通学の学生の自転車に追い越されつつ、適当に歩く。1時間程度で泰山寺に到着。毎回感じるのだけど、最初のチェックポイントに着くと、やっと落ち着く。本格的な遍路体質がよみがえる。
泰山寺からは畑の中を道路脇の遍路道シールを探しつつ、注意深く遍路道をたどる。一度、道を失うとリカバリーに時間がつぶれる。私の持っている歩き遍路地図は15年前のもので、ほとんど役に立たない。特に地方都市近郊の新たにバイパス道路が新設されている地域は路傍の遍路シールをはずせない。
栄福寺で仙遊寺への道を聞くと、仙遊寺は山の上に有るとのこと。事前に何の知識も無く適当に歩いているので、水平距離は分かっているけど高低差は分からない。ここで山登りになるのは想定外だった。教えられた方向に遍路シールは続く。その先にちょいとした小山がある。名古屋近郊なら鳩吹山といった感じの小山だ。仙遊寺はその頂上にあった。一汗かいた仙遊寺からは今治の街が眼下に広がる。遠くに瀬戸内海が見える。来島大橋が遠くにかすむ。
仙遊寺から急な山道を下り59番札所国分寺まで畑の間を遍路道は続く。途中、こじゃれたそばや発見。とろろ蕎麦とビールで昼食。そのビールの影響かその後の行動中に眠気に襲われる。でも、昼寝する場所は無い。がんばって国分寺着。そこで今夜の宿が心配になる。
次の60番札所横峰寺までは30キロ以上ある。当然、今日中にたどり着けない。そんなことは事前に分かっていたことだけど、何の対策もせず、なんとかなるだろうと適当に歩いてきた。でも、これからどうすればいいのか?何処で泊まるか?何処へ向かえばいいのか?ほとんど何のアイディアも無いことにこの時、気がついた。
歩いているうちに、遍路宿の看板でも出てくるだろうと、遍路シールを見失わないように歩くものの何の情報も得られない。そのとき、前方から大きなザックを担いだオッサン登場。なんとなく目が合い話をする。聞けば野宿で3月8日から歩いているとか。名古屋中川区出身の私と同世代。今回2回目で逆打ちで回っているらしい。「前夜、何処で泊まった?」と聞いてみれば、光明寺の無料宿泊所で泊まったとの話。光明寺に一声かければ宿泊可能とのことだった。山で言えば無料避難小屋泊といったところだけど、今回私は寝袋も持ってない。営業小屋を探さねばならない。
その無料宿泊所はその先の「臼井の水」と言うところに有った。掃除も行き届き、非常に清潔な雰囲気だった。近くには民家、スーパー、銭湯もあり理想的な避難小屋だ。案内板には「近くのスーパーは夕方5時(?)過ぎるとお惣菜2割引」との親切な案内もある。四国山中のおどろおどろ感も無く非常に快適な雰囲気なのだ。こんなことなら寝袋ぐらい持って来ればよかったと後悔した。
その後も宿泊に関して何のアイディアも無く前進。最悪、JRの駅まで行って、小松か新居浜のビジネスに泊まるしかないか?と腹をくくりつつ、持参の歩き遍路地図に記載されている「栄屋旅館」に電話してみる。時間は夕方6時近くになってしまった。急な宿泊を頼んだら食事は出来ないけど泊まれるとのこと。その宿が素晴らしかった。宿のオッチャン、オバチャンとも親切で非常にありがたかった。翌日、朝食のとき話を聞けば、かなり有名な遍路宿らしい。贅沢ではないけれど隅々まで掃除の行き届いた良い宿だった。以前話題になった管さんも泊まったらしい。茶の間には管さんと一緒に映っている写真がかけられている。親父さんは石鎚山の先達の免許も持っているらしい。こんな素晴らしい宿に何の計画も無く泊まることが出来たのもお大師様のお導きか・・・。(2013.3.12)
◆行動記録
7:30 出発
8:30 泰山寺(納経300円)
9:45 栄福寺(納経300円)
10:50 仙遊寺(納経300円)
12:00 とろろ蕎麦、稲荷ずし、ビール(1450円)
13:30 国分寺(納経300円)
14:30 今治バイパス合流
15:00 道の駅・今治湯ノ浦温泉
16:00 道失うも遍路シール発見
18:00 丹原(コーヒー120円)
食料(1937円)
18:45 栄屋旅館
5000円(朝食、タバコ)
◆歩行距離
・ 3.1キロ 南光坊(55番)-泰山寺
・ 3.0キロ 泰山寺(56番)-栄福寺
・ 2.5キロ 栄福寺(57番)-仙遊寺
・ 6.2キロ 仙遊寺(58番)-国分寺
・16.0キロ 国分寺(59番)-栄屋旅館
(合計)30.8キロ
【57番札所栄福寺、次の札所への道を聞いたら若くて親切な対応で気持ちよかった】
【58番札所仙遊寺の山門、桜が咲いている、この時期、四国は花がきれいだ、椿、梅、モクレン、レンギョウ、水仙・・・そして菜の花】
【仙遊寺本堂】
【仙遊寺駐車場から今治の街を望む、遠くに来島大橋が見えたが、写真には映らなかった】
【59番札所国分寺、若い坊さんがお参りしていた、お経の声が良く通る】
【光明寺の無料宿泊所の注意書き、親切で清潔な空気に溢れている】
【光明寺無料宿泊所、前夜の泊り客が残したものか、数枚の小銭が置いてあった、平和な日本の象徴だ、ふとTPP参加の是非を考えてしまった】
【無料宿泊所はこの「臼井の水」の横にある、綺麗な泉だ】
【栄屋旅館、とても良い宿だった、まさに日本の宿】
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