● 窪川徘徊、久礼で昼食、高知で入浴、徘徊、夕食、そして高速バスで帰還
朝、ウグイスのけたたましい鳴き声で目が覚めた。6時からは朝のお勤め。宿坊に泊まったからには、せっかくなので参加することにした。本堂に集まった人は10人ぐらい。坊さんから一枚の紙が渡される。朝のお勤めのお経が書いてある。その中で私が知っているのは般若心経だけ。知っているといっても「般若心経」という名前を知っているだけだけど。
でもすべてのお経にはふりがながついているので坊さんの後について読めば良いらしい。般若心経は3回読み上げると書いてある。お経が始まった。坊さんはけっこう若い兄ちゃん。声に張りがある。常々、法事なんかで居眠りしそうになりながら聞いているお経より勢いがある。木魚のたたき方も腕の筋肉痛を心配するほどの激しさだ。
私も元気に声を出そうと思うのだが、読んでいるところがすぐに分からなくなる。かろうじて分かる「ハンニャハラミター・・・」のとことで合わせようとするのだが、「ハンニャハラミター」はあっちこっちに出てくるのでどこの「ハンニャハラミター」なのか分からずまたもや迷子になる。
そのうち絶対間違えない「ギャーテーギャーテー」で待ち伏せすることにした。しかし繰り返しは3回なので、待ち伏せ成功した回で般若心経は終了。なかなか面白い体験だった。これからは各札所で納経するとき般若心経を唱えてみようと思う。
初日に足を痛めたものの、なんやかんやで窪川の岩本寺まで歩き通すことが出来た。今回は初回でもあり「これくらいにしといてやろう」と帰ることにする。今日の夜行バスで帰宅することにした。
窪川近辺を徘徊し四万十川を眺め、高岡神社をチョイと覗き、JRで土佐久礼。土佐久礼大正市場の「浜ちゃん食堂」で昼食。ここ数日、カツオを食べ続けたのでさすがにこの日はカツオではなく「ウツボのタタキ定食」にした。ワンカップ一杯ひっかけ久礼漁港をブラブラ歩く。
一隻の漁船が戻ってきた。人の良さそうなオッチャンがクーラーボックスを荷揚げしている。「何があがるんですか?」と声をかけてみる。「鯖とウルメだよ」と親切に答えてくれる。「どのあたりでつれるのか?」「時期によって獲物はちがうのか?」「儲かるのか?」「楽しいか?」などと、とりとめも無く話しかける。ぶしつけな質問にもニコニコ返事をしてくれる。
「100本以上の疑似餌針が付いた長い仕掛けでウルメとサバを釣るのだがサバが暴れるので大変だ」、と言ったような気がするが言葉は良く分からない。「須崎でほとんど水揚げし、ここに上げるのは自宅で作るミリン干用だ」、とも言っているような気がしたが定かでない。
JR土佐久礼駅で列車を待っていたら、えらくざっくばらんな感じの若者登場。野宿で全行程を歩いているらしい。年のころ30歳ぐらいか。駅の外の日陰でガスコンロで湯を沸かしコーヒーを飲んでいる。声をかけたらニッコリ笑った。京都から来て17日だとか。時々、畑に打ち捨てられた野菜を拾って食べているとか。「野菜を買うと残りが重くて困るもんねえ・・・」。すべてを回ったら高野山へ行って、それから静岡へ行くとか。なんで静岡なのか聞くことを忘れたけど。
彼は言う。「車はほんとうにいかんねー」。何であんなに力ずくで走り回るのか?といった感じのことを言っていたような気がするが、具体的にどういったのか忘れてしまった。でも、それは常々私が感じていることなのだ。私自身、車とテレビが日本社会を大きく変えたと感じている。日本中同じ情報を共有し、何処へでも座ったままで移動できることが田舎を疲弊させてきたのではないかなあ。津波に見舞われ、原発が爆発した今、これからの日本人の生活観は変わるのか?
さらに彼は言う「四国は良いーねー。僕は日本全国旅してるけど、何処へ行っても、いつも怪しまれる。だけど四国の人は温かい。これがへんろ文化なんだろう」。この四国の人の人懐っこさは私も同感だ。
高知に着いてトイレで自分の顔を見てびっくりした。真っ黒の顔をしている。ほとんどホームレスのオッチャンと同じ皮膚の感じだ。風呂へ入ったら少しは綺麗になるかもと、駅近くのホテル土佐御苑の風呂に入る。久々の風呂という訳ではないけれど「これにて今回の行動終了」の風呂は格別だ。風呂から上がり再度顔を見たけど、ほとんどホームレス感は減少してなかった。
その風呂の前に、駅前の観光案内所で勧められた大川筋武家屋敷資料館に行ってみた。管理人室(だったと思う)に声をかけたら元気なオネエチャンが現れた。彼女の説明は素晴らしかった。高知の歴史から、現在の地理的な問題まで高知のことなら何でも答えてくれるような勢い。思わず長居してしまった。また来る機会があったら再訪してじっくり話を聞きたいものだ。
風呂から上がったころ、ちょっと涼しくなってきた。高知城近くの「ひろめ市場」で夕食をとった。小さな飲食店が多数並び、その中央に食べることが出来るスペースを備えた、巨大なフードコートだ。
すべての予定終了を祝し、生ビール、サヨリ刺身、トマト、玉子焼き、マグロ刺身、マグロ昆布巻き、天麩羅入り昆布うどんで一人打上げ。品数は多いけど、総額1980円はリーズナブルだった。
●主な出費
JR窪川-土佐久礼:350円
JR土佐久礼―高知:1060円
塩ケンピ4個 155円×4
浜ちゃん食堂 1400円
ウツボたたき定食 アジ干物 ワンカップ
小夏 しょうが 700円
生酒(4号瓶)3本 6300円
酒盗(甘口)2本 1060円
入浴(ホテル土佐御苑):700円
夕食(ひろめ市場):1980円
【四国のお寺にはこの一休さんかサザエさんのカツオ君みたいなお坊さんの看板があるけど、何か違和感が・・・】
【四万十町窪川の四万十川、なんの変哲も無い川だけど・・・】
【久礼の造り酒屋】
【久礼大正市場】
【久礼港に船が帰ってきた】
【久礼港で会った漁師のオッチャン】
【JR土佐久礼駅で会った野宿遍路のお兄ちゃん】
【後姿限定で写真撮影の許可をもらった】
【後姿限定で写真撮影の許可をもらった】
【高知大川筋武家屋敷資料館】
【高知・ひろめ市場】
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