2012年10月12日金曜日

湯俣温泉(2012.10.12)


前夜、登山口の七倉駐車場で車中泊。この季節、夜明けは遅い。ゆっくり朝寝が楽しめる。明るくなっても寝袋から出ることも無くグダグダしている。今日の行動は時間は長いものの、お散歩気分の湯治的ハイキング。緊張感はまるでない。朝食のコーヒーを飲みつつ持参のおにぎりをほおばっていると、タクシーが入ってきた。七倉からは一般車は通行禁止だがタクシーは高瀬ダムまでは入れる。ここで、昨夜から軟弱になった私に更なる軟弱アイディアが降りてきた。高瀬ダムまでタクシーに乗れば2時間程度の時間が節約できる。しかし経済的には負担が増える。

タクシーの運転手に料金を聞けば、2100円とのこと。時給1000円のアルバイトをするかどうか?の判断を迫られているわけだが、太っ腹の私はタクシーに乗ることにした。当然、帰りは歩いてくるけどね。これにより高瀬ダムの登りは避けられる。高瀬ダムは巨大なロックフィルダムだが、そのダムの斜面を電光を切って道路が取り付けられている、珍しい構造のダムなのだ。

高瀬ダムから歩き出す。長いトンネルを抜けるとダム湖の脇の林道が続く。太陽が昇るにつけ対岸の山々が明るくなってくる。烏帽子から野口五郎の裏銀座コースの稜線が美しい。周辺の紅葉には一週間から10日程度早いと思われるが、タクシーの運転手から聞いた、烏帽子からの下山者の話として「今年は烏帽子の紅葉が良かった」とのこと。涸沢、室堂、烏帽子など高山の紅葉は今年は良かったらしい。稜線には雪も降っているしね。しかし、高瀬ダム周辺の1500mの紅葉はイマイチの感じ。なかなか紅葉は難しい。

のんびり歩きつつも、良い加減うんざりしたころ、湯俣温泉到着。山小屋・晴嵐荘は小屋閉めの真っ最中。17日に小屋閉めだとか。小屋の内湯に入りたい旨、伝えると、今から掃除をして温泉を入れてくれるとのこと。それまで、周囲を散策することにした。

とりあえず、有名な墳湯丘を目指す。小屋から徒歩10分。その近くには入浴可能な河原の温泉もあるとの話なので、バスタオル片手に向かってみる。河原から湯気が立ち昇っている。その先にくだんの墳湯丘があった。想像以上に立派な、白いイスラムモスク風の岩の頭から湯と湯気が立ち昇る。自然の驚異を感じてしまう。河原の露天風呂も発見したが、川からの水が流入するにもかかわらず、非常に熱い。あつ湯好きの私としても、このままで入るのは無理。川からの水量を増やす土木工事をするのもめんどくさいので河原の露天風呂に入浴するのは諦めた。

その後、小屋番のオヤジに勧められた展望台に向かってみる。その展望台が素晴らしかった。湯俣温泉の横から裏銀へ座コース向かう竹村新道を30分ほど登った展望台は槍の北鎌尾根の展望台といっても過言でないほど北鎌尾根を見るのに良い。今まで常に横から北鎌のギザギザを眺めることは多かったけど、北側から真っ直ぐに眺めるのは初めてだ。改めて、北鎌尾根の大きさを感じる。槍へのバリエーションルートとしてのルートファインディングは難しそうだ。加藤文太郎はここで死んだのか、などと、イロイロ感じることが多かった。

この湯俣温泉は、私が高校一年の夏山登山で燕から槍までの表銀座コースを歩いたとき、燕から見下ろした深い谷の底にある。その時「この谷の底には何があるのだろう?いつか行ってみたい」と思っていた。あれから50年、その間の人生まで思い巡らしてしまった。

と言いつつも、小屋に戻り、ビールと晴嵐荘の一番風呂。気持ちが良かった。その後、のんびり高瀬ダムまで戻ったころ、稜線に太陽は沈んだ。しかし太陽とは反対側の餓鬼岳から唐沢岳の稜線は明るく、その紅葉は美しかった。

◆行動記録
 6:30 タクシー2000円
      この時期6時から進入可能
      (夏は5;30から)
      (秋は8:00から)
 6:45 高瀬ダム
 7:20 東沢出合い
 7:55 林道終点
 8:20 名無避難小屋
 9:30 晴嵐荘(17日小屋閉)
      ビール600円
      入浴500円
12:45 発
13:35 名無避難小屋
14:00 林道終点
14:40 東沢出合
15:20 高瀬ダム
16:40 七倉登山口
18:00 三郷
      給油(308 キロ)
22:20 帰宅

 【朝の光が裏銀座方面の稜線を照らす】

 【最初は平坦な林道を歩く】

 【林道が終わると管理された山道】

 【湯股温泉・晴嵐荘が見えてきた】

 【墳湯丘】

 【川の中の岩からも湯が噴出している】

 【河原の露天風呂、熱い】

 【展望台から見た北鎌尾根、写真の一番高いピークの右奥が槍ヶ岳山頂】

 【展望台から見た双六岳方面】

 【展望台から見た墳湯丘方面】

 【晴嵐荘内湯】

 【帰り道、高瀬ダム湖越しに見た船窪岳方面】

 【高瀬fダムに[戻ったとき稜線に日が落ちる】

 【高瀬ダムの七曲、実際には第5コーナーまでなので五曲がりか】

【高瀬ダムを下ったとき見た、夕日に輝く唐沢岳(かな?)】

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