● 2011.8.19(金)金剛福寺・土佐清水泊
「完全歩き遍路」を断念した瞬間、肩の荷が下りた。「まあ、出来るだけ歩き遍路」は当初から織り込み済みの考え方なのだ。
味噌汁、海苔、卵、塩サバ、暖かいご飯の正しい日本の朝食後、8時20分のバスで土佐清水黒潮市場へ向かう。土佐清水の中心がどこにあるのか何も分からず、とりあえず中村駅横の観光案内所でもらったパンフレットに載っていた土佐黒潮市場に向かうことにしたわけだ。バスに乗るとき運転手に聞けば、「近くで下ろしてやる」とのこと。要するにバス停は関係ないらしい。
バスを降りてから足摺岬への標識に従い歩き始める。足摺岬の根元がくびれてそこに土佐清水がある。したがって足摺岬へは西回りと東回りの二通りの行き方がある。黒潮市場はその西周りの海岸に面しているので、西回りのコースをとることにした。
歩き始めてすぐに釣りをするオッチャン発見。釣りするオッチャンを見つけると、何が釣れるのか必ず聞くのが私の流儀。と言うことで、「何がつれますか?」と声をかける。それをきっかけに状況が分かる。
・ 釣果は黒鯛(手のひらサイズ)2、アジ(18センチ)1
・ えさはオキアミ
・ 退職後横浜から土佐清水に移り住んでいる
・ 知人の紹介で移り住むも、自分の知り合いは無かった
・ でも、地元の人は親切で居心地良い
・ 年金暮らし
・ 暇なのでテレビを見る代わりに釣りをしている
・ なんとか夕食のおかずぐらいは毎日調達可能
・ 今心配なのは病気したとき
【横浜から移り住んだ人】
話を切り上げ、先に進む。中浜、大浜を過ぎると道は濃密な照葉樹林の間を進むことになる。時々、木々の間から海が見える。美しい海だ。その樹林のために日陰が多くけっこう涼しい気もするが、その分、風が通らず、暑いかもしれない。要するにどっちだったか思い出せないくらい、暑かったのかもね・・・。
【中浜の町を見下ろす】
【中浜はジョン万次郎の出身地】
【日陰は多いけど、涼しかったかなー・・・】
【樹林途切れると海が見える。海の色がなんと美しいことか。】
途中、昨日の靴に当たって皮がむけた足が痛んでくる。さらに新しい靴のため親指が詰まってくる。今までの経験上、このまま歩けば間違いなく指の爪が黒く死ぬ。前回の四国遍路では両足の人差し指の爪の爪が黒く死んだ。親指の爪が黒いのは人差し指よりもインパクト強いので避けたいところだ。悩んだ結果、昨日まで履いていた破れ靴を再登場させることにした。開いたところをテーピングテープで補強して履く作戦だ。まあ、こんなフラットな舗装路だからなんとかなるだろう。
【破損靴再登場】
けっこう歩いて金剛福寺に到達。寺には遍路の姿もほとんど見えない。こんな暑い時期の酔狂な歩き遍路はやっぱり少ないみたいだ。金剛福寺に着いた途端、修理したテーピングテークが切れ靴は最初の開き状態になっていた。
【金剛福寺には人影まばら】
【足摺岬灯台はちらりと見ただけ】
帰りのバスの時間を調べてみると、すぐに来るらしい。観光名所の足摺岬灯台へ行くのは止めて缶ビールとソフトクリームを食べつつバスを待ち、とっとと土佐清水に帰ることにした。土佐清水で今夜の宿を探さねばならない。
通常、地方都市に行けば駅近辺に観光案内所があるものだ。しかし土佐清水には駅が無い。バスターミナルとおぼしき、なんとかパル前というスーパーが中心らしい。そのなんとかパルに入り、そののオバチャンに観光案内所の場所を聞く。
そのオバチャンが言う「観光案内所に何の用なのか?」
私答える「宿を探しているのです」
すると、数人の新たなオバチャン登場。どこそこに安宿がある。どこそこにビジネスホテルがある。食事はいるのか?、なんだかんだ、なんだかんだ、、、、。その中に「美人女将がいる宿がある」との情報もあり、その美人女将の宿を教えてもらう。名前は「旅館ふたば」。実際は教えたオバチャンの友達らしいけど、美人女将に間違いは無かった。
その宿も良かった。その美人女将に教えてもらった「あしずり食堂」で食べた「清水サバ」の刺身は素晴らしかった。まさに記憶に残る刺身だった。又食べに行きたい。
【旅館ふたば】
● 歩行距離
約15キロ(土佐清水-金剛福寺)
● 行動記録
8:20 バスにて出発
9:25 黒潮市場
11:45 臼波 大休止
13:45 金剛福寺
14:13 バスにて同発
15:00 旅館ふたば
● 主な出費
300 円 納経
300 円 ビール
300 円 ソフトクリーム
800 円 バス(足摺-土佐清水)
4500 円 旅館ふたば(1泊素泊まり)
450 円 缶ビール
2900 円 あしずり食堂(サバ刺身、生ビール、メジカ生節、川エビ唐揚げ、冷酒)
560 円 デザート