2011年8月21日日曜日

四国遍路2-5


● 2011.8.21(日)帰還・総括

 長くて、暑い旅も最終日。どうせ車中で寝続けるのだと、5時起床、始発で帰還。今回、青春18切符で四国遍路区切り打ちに挑戦してみたが、18切符区切り打ちには若干の無理があるかもしれない。往復二日間移動に使ってしまう。遍路に集中するのなら高速バスが効率的かも知れない。

 高知を出ると一気に四国山地の真っ只中。昨夜は久しぶりに雨が降った。その久々の雨で木々の緑が深い。四国の特徴は急峻な山の上まで家が点在する。木曽、飛騨では見られない光景だ。雪が少ないからか、はたまた、昔から人が住んで耕地を求めて上へ上へと登ったのか?

 【四国山地を走る】

【トイレ休憩で降り立った駅】 

【すれ違うときに入る待機線のある駅。すれ違い、追い越しだけで存在する駅でJR以外での到達難易度はきわめて高い。列車はスイッチバックで本線に戻る】

 気がつけば車窓から見る川の流れが進行方向に変わっている。吉野川水系に入ったみたい。この吉野川水系、大歩危、小歩危近辺の谷は深い。

 四国のJR鈍行にはトイレがついてない。最近の突然の尿意に耐えられない私だが、心配無用。通過、すれ違い待ちで列車は常にトイレ休憩。その都度、昭和の気配満載のレトロ駅を楽しめる

 岡山駅はいつ来ても大混雑。小腹が空いたので駅ナカのうどん屋へ入る。かき揚げウドン450円。高知ひろめ市場の約倍だ。しかし、味は全く感心しない 。1時間も離れてないけど瀬戸内海を隔ててウドンの味と値段が激変する。不思議だ。

 四国の染まるように濃い緑、懐かしい木造駅舎、急峻な山ひだを縫って走るのに比べ、岡山から名古屋までは人混みの中の単なる移動だ。つまらないのでビールを飲んでとっとと寝てしまった。

 米原で大垣行に乗り換える。常々思うのだが、大垣で乗り換えずにそのまま行けたらありがたい。米原まで乗って来た人はほとんど大垣行へ乗り換える。しかし列車の編成両数が半減しているのでこの区間だけ異様に混み合う。大垣からは編成両数が増えるのでゆったりと乗ることができる。なんとなく18切符で名古屋と関西を行き来する客に対する嫌がらせではないか?と、チョットす被害妄想の私です。

 最後に一言。「夏の暑い時期は遍路に向かない」

●主な出費

1000円弱 コンビニ
4000円 岡山駅で食料、お土産
 530円 姫路駅でビール週刊誌

【岡山からの見ものは明石海峡大橋。たいしたものだ】

2011年8月20日土曜日

四国遍路2-4

● 2011.8.20(土)高知泊

 38番金剛福寺(足摺)をクリアしたのでとりあえずの目的は達した。直接帰ってもいいのだけれど、どこかで1泊して明日帰宅することにした。土佐清水から宿毛経由で帰ることも考えたけど、そうするには早立ちせねばならない。なんとなくこの土佐清水が好きになってしまったので、ゆっくり清水を偵察してから中村経由で高知泊とすることにした。

 宿の美人女将情報によると、朝食には喫茶店のモーニングが良いらしい。この土佐清水のモーニングには味噌汁がつくらしい。朝8時前、教わった「喫茶ゆき」に入ってみる。8時前なのに8割方席は埋まっている。すべて地元のオッチャン、オバチャン、オネエチャン。入った途端、一斉に視線を浴びるが、けっこうフレンドリーな空気だ。モーニングセットを注文し、落ち着いていたら「新聞読むか?」などと話しかけてくれる。ますます、土佐清水が好きになってしまう。

【喫茶ゆきのモーニングセット、サンドイッチ、パスタ、サラダ、ヨーグルト、味噌汁、コーヒーで450円也。値段も安いし味も良い。自宅近辺に有れば毎日行くところだ】

 朝食後、土佐清水漁港へ向かってみる。ひょっとしたら何か水揚げしているところを見ることが出来るかもしれない。港では小さな漁船から何かを降ろしている。邪魔にならないように気を使いつつ、近づいてみれば大きなサバを生きたまま水揚げしている。漁船の生簀から大きなタモで数匹救い、走って大きなコンクリート生簀に運んでいく。そこで一定の大きさのサバだけ水槽に移し、はかりで測って一定の基準に達しないものは漁船の生簀に戻しに来る。そんなあわただしい作業を繰り返している。

 【土佐清水漁港】

 【清水サバの水揚げ】

 【たぶん餌付き延縄、餌はサバの皮と思うが確証無し】

【水槽に移された清水サバ。見るだけでも美しい】

 一隻の作業が終わったところで、その若い漁師に聞いてみれば、清水サバとのこと。ちょっと小さいだけで受け取ってもらえないらしい。見かけはほとんど判別できないような大きさの違いで商品にならないとは厳しいものだ。

 清水サバは港から2時間ぐらい走った黒潮の真っ只中で釣る(実際には延縄)らしい。「そんな黒潮の真っ只中にいついちゅーの?」となぜか坂本竜馬風に聞いてしう。すると「居つきのサバだ」との返事。土佐清水からその漁場までは浅瀬が続いて、その先、ドン深になっているとか。

 その黒潮の急な流れの中の瀬に居ついたサバなので筋肉質で弾力のある清水サバとなることを納得した。清水サバは秋が旬でこれからますます脂が乗って美味しくなるということだ。これ以上美味しいサバってどんなもんだろう・・・?うーん食べたい!

 その後、中村経由で高知に出て、またもや高知グリーンホテルへ電話してみれば、「今空いたところ」との返事。部屋には通すのは5時過ぎだけれど、チェックインは今でも可能とのこと。一泊5200円。土曜日の夜なので宿が見つかっただけでもラッキーかもしれない。

 チェックイン後、街に食事に出る。高知には焼き鳥屋も多いので、最終日として焼き鳥屋に入ってみた。そこでは小さな机向かってオバチャンが焼き鳥に串を打っていた。そのオバチャンは淡々と串を打つ作業を繰り返し動きに無駄がない。ビールを飲みつつその作業を眺めていると、そこへ突然のゴキブリ登場。

 オバチャンはゴキブリの登場にあわてることも無く、ゴキブリが下に隠れた串を打つ前の鶏肉の皿を移動する。そして、ちょっと離れたティッシュを引き寄せる。その静かな動きにくだんのゴキブリ、ほとんど動かない。いや、動けないのかもしれない。そして、掴んだティッシュ一閃。ゴキブリはティッシュに包まれていた。昔、宮本武蔵が止まった蝿を箸でつまんだ故事を思い出した。

● 行動記録
8時前 宿発、喫茶「ゆき」、土佐清水港、中村、窪川、高知、焼き鳥、ひろめ市場でうどん。高知グリーンホテル泊

● 主な出費
 450円 ゆき モーニング
  70円 カルピスソーダ
1400円 バス(清水-中村)
1060円 土佐くろしお鉄道(中村-窪川)
 550円 昼食(缶ビール、ミニ寿司)
 280円 高知駅コーヒー
5200円 高知グリーンホテル
2430円 焼き鳥屋(串6本 カツオ刺身 ビール1本 日本酒1合)
 270円 ひろめ市場昆布とろろうどんカボチャ天入り
 380円 サーティーワン・アイス

【四国で食べた最後の食事。ひろめ市場のとろろ昆布うどんカボチャ天入り、270円也、旨い、安い】

2011年8月19日金曜日

四国遍路2-3

● 2011.8.19(金)金剛福寺・土佐清水泊

 「完全歩き遍路」を断念した瞬間、肩の荷が下りた。「まあ、出来るだけ歩き遍路」は当初から織り込み済みの考え方なのだ。

 味噌汁、海苔、卵、塩サバ、暖かいご飯の正しい日本の朝食後、8時20分のバスで土佐清水黒潮市場へ向かう。土佐清水の中心がどこにあるのか何も分からず、とりあえず中村駅横の観光案内所でもらったパンフレットに載っていた土佐黒潮市場に向かうことにしたわけだ。バスに乗るとき運転手に聞けば、「近くで下ろしてやる」とのこと。要するにバス停は関係ないらしい。

 バスを降りてから足摺岬への標識に従い歩き始める。足摺岬の根元がくびれてそこに土佐清水がある。したがって足摺岬へは西回りと東回りの二通りの行き方がある。黒潮市場はその西周りの海岸に面しているので、西回りのコースをとることにした。

 歩き始めてすぐに釣りをするオッチャン発見。釣りするオッチャンを見つけると、何が釣れるのか必ず聞くのが私の流儀。と言うことで、「何がつれますか?」と声をかける。それをきっかけに状況が分かる。

・ 釣果は黒鯛(手のひらサイズ)2、アジ(18センチ)1
・ えさはオキアミ
・ 退職後横浜から土佐清水に移り住んでいる
・ 知人の紹介で移り住むも、自分の知り合いは無かった
・ でも、地元の人は親切で居心地良い
・ 年金暮らし
・ 暇なのでテレビを見る代わりに釣りをしている
・ なんとか夕食のおかずぐらいは毎日調達可能
・ 今心配なのは病気したとき

【横浜から移り住んだ人】

 話を切り上げ、先に進む。中浜、大浜を過ぎると道は濃密な照葉樹林の間を進むことになる。時々、木々の間から海が見える。美しい海だ。その樹林のために日陰が多くけっこう涼しい気もするが、その分、風が通らず、暑いかもしれない。要するにどっちだったか思い出せないくらい、暑かったのかもね・・・。

 【中浜の町を見下ろす】

 【中浜はジョン万次郎の出身地】

【日陰は多いけど、涼しかったかなー・・・】 

【樹林途切れると海が見える。海の色がなんと美しいことか。】

 途中、昨日の靴に当たって皮がむけた足が痛んでくる。さらに新しい靴のため親指が詰まってくる。今までの経験上、このまま歩けば間違いなく指の爪が黒く死ぬ。前回の四国遍路では両足の人差し指の爪の爪が黒く死んだ。親指の爪が黒いのは人差し指よりもインパクト強いので避けたいところだ。悩んだ結果、昨日まで履いていた破れ靴を再登場させることにした。開いたところをテーピングテープで補強して履く作戦だ。まあ、こんなフラットな舗装路だからなんとかなるだろう。

【破損靴再登場】

 けっこう歩いて金剛福寺に到達。寺には遍路の姿もほとんど見えない。こんな暑い時期の酔狂な歩き遍路はやっぱり少ないみたいだ。金剛福寺に着いた途端、修理したテーピングテークが切れ靴は最初の開き状態になっていた。

 【金剛福寺には人影まばら】

【足摺岬灯台はちらりと見ただけ】

 帰りのバスの時間を調べてみると、すぐに来るらしい。観光名所の足摺岬灯台へ行くのは止めて缶ビールとソフトクリームを食べつつバスを待ち、とっとと土佐清水に帰ることにした。土佐清水で今夜の宿を探さねばならない。

 通常、地方都市に行けば駅近辺に観光案内所があるものだ。しかし土佐清水には駅が無い。バスターミナルとおぼしき、なんとかパル前というスーパーが中心らしい。そのなんとかパルに入り、そののオバチャンに観光案内所の場所を聞く。

 そのオバチャンが言う「観光案内所に何の用なのか?」

 私答える「宿を探しているのです」

 すると、数人の新たなオバチャン登場。どこそこに安宿がある。どこそこにビジネスホテルがある。食事はいるのか?、なんだかんだ、なんだかんだ、、、、。その中に「美人女将がいる宿がある」との情報もあり、その美人女将の宿を教えてもらう。名前は「旅館ふたば」。実際は教えたオバチャンの友達らしいけど、美人女将に間違いは無かった。

 その宿も良かった。その美人女将に教えてもらった「あしずり食堂」で食べた「清水サバ」の刺身は素晴らしかった。まさに記憶に残る刺身だった。又食べに行きたい。

【旅館ふたば】

● 歩行距離
約15キロ(土佐清水-金剛福寺)

● 行動記録
 8:20 バスにて出発
 9:25 黒潮市場
11:45 臼波 大休止
13:45 金剛福寺
14:13 バスにて同発
15:00 旅館ふたば



● 主な出費
 300 円 納経
 300 円 ビール
 300 円 ソフトクリーム
 800 円 バス(足摺-土佐清水)
4500 円 旅館ふたば(1泊素泊まり)
 450 円 缶ビール
2900 円 あしずり食堂(サバ刺身、生ビール、メジカ生節、川エビ唐揚げ、冷酒)
 560 円 デザート

2011年8月18日木曜日

四国遍路2-2

● 2011.8.18(木)中村泊

 二日酔いだ。気持ちが悪い。当初の予定では5時起床、始発で窪川へ向かい、7時過ぎから歩き出す予定だった。そのスタートを切らない限り三日で金剛福寺到着は無理。結局、あっさり予定変更。完全「歩き遍路」を「キセル歩き遍路」と変えることにする。まあ、なんとなくこうなることは昨夜から分かっていたような、いないような・・・。

 ここで悩みが一つ。高知から窪川まで18切符を使うべきか?現金で払うべきか?高知-窪川間のJR運賃は1400円ぐらい。窪川から先は土佐くろしお鉄道で18切符は使えない。18切符の一日分は2300円。

 「18切符を残して無駄にしたこともあったなー」「18切符が無くなって現金で払って損したことも有ったなー」と酔った頭で心乱れつつけっきょく18切符を使うことにした。

 12時30分、土佐佐賀駅から歩き始める。なぜ土佐佐賀からかというと、地図で見る限り土佐佐賀から海岸沿いの道になる。海岸沿いはアップダウンも少なく、少しは海風も通り快適に歩けるかも、と、思ったのは甘かった。ただただ暑い。目がくらむ。500MLのお茶のペットボトルを2本購入する。

【土佐佐賀駅近くに遍路マーク発見。これを見ると安心する】

【佐賀には大規模公園と呼ぶ不思議な名前の公園あり】

 佐賀はカツオのたたきで有名だ。ひろめ市場でも「佐賀港直送カツオたたき」の文字が躍っていた。海沿いの道に出るとさすがに爽快な景色が広がる。でも、ただただ暑い。大汗かきつつも腹だけは減る。暑さに耐えかね、土佐白浜というところで食堂「民宿ニュー白浜」に飛び込んだ。そこのオバチャンが言うには「今朝、お遍路さんが一人通った」とか。こんな暑さの中を歩く酔狂な人も居るもんだ、と、思うと同時に、一人しか居ないんだ、とも思った。

【ニュー白浜のざるうどんとミニタタキ丼のセット。1000円也】 

【歩いていると不思議なお寺的施設発見。お接待用寺にも見える。内部を除くと真っ黒に日焼けした、オッチャンが上半身裸でペットボトルのお茶を飲みつつ、何か読んでいる。外には洗濯物。プロのお遍路さんと見えるのだが、私のほうには視線を投げない。】

 昼食後、歩きたくないけど、歩かねば永久に着かない。気力を振り絞り歩き始める。そのうち歩きながら、足元に違和感。足がなぜかスースーする。良く見ると右足の靴の内側がズッポリ開いている。左足も開きかけている。なんと靴が破損してしまったのだ。この靴は名古屋駅前の某山道具屋で購入のれっきとした山靴だ。購入後、けっこう時間はたっているけど、まだ使用回数も少なく底のビブラムソールもほとんど減っていない。私にととってこの手の靴で気に入ったものは底のビブラムソールを数回張り替える事もあるような代物なのだ。

【靴破損】

 ことここにいたり、本日の行動停止を決定。土佐くろしお鉄道の最寄り駅探すことにした。行動停止の理由が出来てほっとしたのも事実であった。少しずつ前に進みつつ、駅を探す。靴はますます広がってくる。まあ、最悪、完全にばらけたらはだしで歩けばいいや。やっと駅を発見。有井川駅だった。そこからくろしお鉄道に乗り中村に到着。駅前の「民宿土佐」へアポ無し突入。結果オーライでなんとかこの日のねぐらも確保。最近、こればっかり。

 民宿土佐のお兄ちゃんに事情を話し、靴を売っているところを聞いてみる。近くのスーパーにあるとのこと。散歩ついでに靴を買いに行く。民宿のスリッパを引っ掛け靴購入。その靴を売り場で直接履いて、街を貫く四万十川を眺めに行くことにした。しかし、四万十川までけっこう遠かった。1キロぐらいあっただろうか。その行動がさらに翌日の悲劇を生む。新しい靴を裸足ではいたため、汗で踵の上が靴とちょっと触れ、皮がめくれてしまったようだ。でも、その時、そんなに痛みは感じなかった。宿のお兄ちゃんのおすすめの靴はニューバランスだったけど、そこでは売っていなかった。

 民宿土佐はとても良い宿だった。食事もとても美味しかった。1泊2食付き6500円ポッキリ。今回の旅ではすべての宿がとても良かった。

● 歩行距離
10キロぐらい(土佐佐賀-有井川)

● 行動記録
 9:30 高知発(18切符使用)
12:30 土佐佐賀駅
13:45 ニュー白浜
15:30 有井川駅 行動停止

● 主な出費
 360円 コンビニ
 300円 お茶ペットボトル2本
 530円 土佐くろしお鉄道(窪川-佐賀)
1000円 ざるうどん ミニタタキ丼セット
 450円 土佐くろしお鉄道(有井川-中村)
4095円 靴
 150円 サイダー
 800円 缶ビール2
6500円 民宿土佐(1泊2食付き)


【中村で見た四万十川、河口はまだ遠い】

 【民宿土佐の夕食、よこ(マグロの幼魚の刺身、カツオタタキ、鰻蒲焼】

【民宿土佐】

2011年8月17日水曜日

四国遍路2-1

● 2011.8.17(水)出発、高知泊

 四国遍路の第2回目。前回は31番竹林寺(高知)から37番岩本寺(窪川)までを5月に5日かけて歩いた。今回は37番岩本寺(窪川)から38金剛福寺(足摺)の90キロ。全行程で最も札所の間隔が長い区間を歩くのが目的だ。アプローチに青春18切符を使った4泊5日。高知までの往復に2日費やすので実質的には90キロを三日かけて歩くことになる。1日30キロ。さらに高知から窪川までのJRに乗る時間も必要だ。歩き通せるだろうか?冷静に考えればかなりきつそうだ。この猛暑の中、まさに「修行」の旅である。「まあ、あまり無理せず、しんどければバスに乗れば良い」との気楽な遍路だ。

 今夜は高知泊まりと決めていた。朝8時過ぎに自宅を出発。名古屋、大垣、米原、姫路、相生、岡山、坂出、多度津、阿波池田と乗換えを繰り返し高知着は20時27分。この乗換えの多さに、友人から「疲れないか?」と良く聞かれるが、全然疲れない。特にJR四国のような気動車の振動は船のそれと同じでとてもよく眠れる。車を運転する緊張感も必要ない。

 四国に入り多度津で乗り換えるとローカル度は一気に高まる一両編成。山で出会う人とはよく話すんだけれど、JRで乗り合わせた人はほとんど会話しない。何でだろう・・・?魚肉ソーセージを牛乳で流し組む高校生、輪行のオッチャン、キャリーバックと寝袋を持った謎のアベック・・・など、不思議な人々を乗せ一両編成の気動車は四国山地を抜けていく。

【多度津で乗り換えた一両編成】

 「夏の旅なら、どこでも寝れる」とお気楽気分でホテルも予約してない。とりあえずはりまや橋方面に歩きつつ、安そうなビジネスホテルを探す。発見、「高知グリーンホテル」。そのまま飛び込み聞いてみれば部屋は空いていた。当日割引の4700円。「当日割引」って初めて聞く言葉だ。予約は早ければ良いというわけではなさそうだ。

 やっぱり宿が決まると気分が安らぐ。飛び込みで入った高知グリーンホテルはなかなか良い宿だった。ベットも広かったし部屋も清潔。最近、この手のビジネスホテルのクオリティはかなり高い。

 ホテルに荷物を置き、高知観光客ご用達の「ひろめ市場」で遅めの夕食をとることにした。高知名物・安兵衛の餃子とビールを注文し、座った席の前のオッチャンと話が弾み、ついつい酒を飲みすぎた。そのたまたま出会ったオッチャンとは共通の知人がいた。こんな高知の屋台で知り合いの知り合いに会うなんて、まったく世の中狭いものだ。

● 主な出費
585円:朝食 コンビニ
360円:缶ビール ピーナッツ
450円:蕎麦 池田
4700円:高知グリーンホテル
800円:餃子・ビールセット
500円:青さのり天ぷら
500円:栗焼酎ダバダ
900円:冷酒/
500円:うどん

【最後は土佐のうどんで締めたけど、味の記憶無し】

2011年8月6日土曜日

東北自炊旅-6

● 六日目・帰還
【この時期の東北は山百合が多い】

 松之山温泉から津南への国道353号は前日開通したばかり。大きな崖崩れ現場を横目になんとか津南の国道117号へ戻った。豊田飯山から塩尻まで高速、その後、木曽でそばを食べるべく19号線をひた走り、何気なく木曽福島の車屋に入る。休日の車屋は大混雑。

【松之山の崖崩れ現場】

 今回は天候が許せば、魚沼駒ケ岳と八海山、そして八幡平・千沼ケ原に登りたいと考えていた。しかし、最後まで天候不順。どこにも登らず温泉三昧。まあ、これはこれでよかったと思う。なんせ「展望の無い山には登らない」これが私のモットーです。

 山には登らなかったけど、いたるところで山百合を見た。東北の夏は山百合だ。雑草の中で鮮やかに咲いている。地元の人も草刈をしても山百合だけは残しているようだ。この山百合、明治時期にヨーロッパで人気となり、その結果乱獲されたらしい。ヨーロッパに持ち出された山百合は品種改良されカサブランカとなったとか。でも、カサブランカより山百合のほうが派手で美しい。日本的な派手も捨てたもので無いと感じている。(2001.8.6)

2011年8月5日金曜日

東北自炊旅-5

● 五日目・松之山温泉(みよしや)泊
 【松之山温泉・民宿みよしやの内湯。源泉は90度以上、湯口も70度以上。熱い湯だ。】

 【民宿みよしや】

 そろそろ帰らねばならない。肘折温泉からひたすら南下する。肘折温泉から寒河江へは山道だけど直接抜ける国道がある。しかし以前走った時、かなりうっとうしい山道だったとの記憶がある。ちょっと遠回りだけど尾花沢へ戻り国道347号を南下することにする。

 寒河江近辺の地図を見ていたら慈恩寺との標記を発見。かなり大きな字で書かれている。けっこう大きな寺かも?と慈恩寺に寄ってみる。なかなか立派な寺だ。住職と思われるオッチャンに拝観を頼み、説明を受ける。拝観料は500円。かって江戸時代には東北で一番受領する石高の大きな寺だったとか。本堂の中には小さなお堂があり、中尊寺の金色堂と同じ構造に見える。中尊寺ほど綺麗に保存されているわけではないけど・・・。さらに隣の薬師堂の十二神将はけっこうインパクトがあった。こんな地方の仏像を見るのもなかなか面白い。
 
 明日は帰宅する予定。一日で帰れる範囲の自炊湯治宿はなかなか少ない。今夜の泊まりに苦労したけど、松之山温泉の「みよしや」へ行くことにした。松之山温泉はなかなか個性的な温泉だ。日本三大薬湯とのフレコミだがまさに薬の中に浸かる感じ。その三大薬湯のあと二つはどこなのか知らないけど・・・。

 私個人としては、この松之山温泉の薬的な湯に対抗できるのは岩手の国見温泉ぐらいだと思う。その国見温泉については今回行きたかったけど、諸般の事情で断念。再度の出撃を画策している。

 松之山温泉に向かいつつ信濃川の流れを見て一週間前の豪雨に気がついた。道は大丈夫だろうか?ガソリンを補給しつつ情報収集。ガソリンスタンドのオヤジいわく「十日町大橋は通れるようになったかなー・・・?」。ちょっとビビリつつ車を走らせる。橋は渡れるけど崖崩れの跡がすごい。まさに自然の驚異だ。よりによってこんなときに松之山温泉温泉に向かうことを若干反省しつつなんとか「みよしや」にたどり着いた。
 
 みよしやのオヤジは3月12日の震度6強の地震、さらに一週間前の時間雨量100ミリ超の豪雨の話、いろいろ話してくれる。夜中に雨が降ってきた。明日は無事に帰れるだろうか?ちょっと心配だ。なんせ松之山はかなり山深い。どこへ出るのも道が通れなくなるとかなり問題だ。(2001.8.5)

【みよしや・松之山温泉】
・ 電話:02559-6-2017
・ 料金:3750円
・ 設備:自炊スペース、冷蔵庫、テレビ(有料100円コイン式)、その他詳細は未確認
・ 隣に息子さん経営の食堂あり。頼めば出前も可能だ

 【やっと晴れた。月山が美しい。尾花沢近辺から望む】

 【慈恩寺本堂/寒河江】

【慈恩寺薬師堂/寒河江】

2011年8月4日木曜日

東北自炊旅-4


 【肘折温泉・葉山館】

【肘折温泉遠景・背景は月山。翌朝一瞬晴れた時、撮影】

● 四日目・肘折温泉(葉山館)泊

 今回の旅では宿は毎日行き当たりばったり。次はどこに行こうか?迷いつつ北上線に沿って車を走らせ横手方面に向かう。「ほっとゆだ」との標識発見。名前だけは以前から聴いたことがあった。でもどこに有るのか知らなかった。で、とりあえず駅へ向かってみた。風の便りで聞いているけど駅に温泉があるらしい。

 駅についてみれば立派な「ゆ」の暖簾。駅前に車を止めて入ってみた。入浴料250円。透明な湯が溢れていた。湯上りに駅前の観光協会で情報収集。この湯田の周辺には温泉多数。自炊湯治宿も多いらしい。次回はぜひ泊まってみたいものだ。

 その後、横手へ出て、最近話題のB級グルメ「横手焼きそば」の昼食。この「横手焼きそば」特段何ということも無い焼そばだ。なぜ話題になるのか良く分からないけど、とりあえず「横手焼きそば」が食べられて嬉しかった。

 その後、新庄方面に南下。今夜の泊まりは肘折温泉か、滑川温泉か迷ったけれど、肘折温泉に行くことにした。新庄の観光案内所でゲットした肘折温泉旅館リストの最初にある葉山館に電話してみれば、あっさりOK。肘折温泉には簡単な食事がついている半自炊のシステムがある。当然、自炊するスペースもあり、好きなものを自分で準備することも出来る合理的なシステムだ。私はこのシステムが大好きだ。

 途中の大型スーパーで山形牛300グラム購入。さらにネギ、シメジ、豆腐、シラタキ。久々のすき焼きにすることにした。福島原発のセシウム問題で牛肉が安い。20年後の健康被害に関してはほとんど心配することも無い私にとって、安くなった牛肉はありがたい。

 すき焼きを美味しく食べるためにも肘折温泉には早めに入った。4時前に葉山館に到着。とりあえず、宿でもらった共同浴場(上の湯)の入浴券で共同浴場で一汗流すことにした。葉山館は築100年(実際には95年ぐらい)の木造建築。掃除も行き届いている美しい日本の宿だ。2間の床の間付きの八畳間。川に面して縁側が開け、木製の手すりもしっかりしている。

 その縁側に陣取り、届けられたお膳の横でキャンピングコンロですき焼きの夕食。届けられたお膳には暖かい鮎の塩焼き、ミズのおひたし、山菜の煮付け、ミズと塩鯨の味噌汁。暖かいご飯。素晴らしい夕食だった。開け放った縁側の窓から川を眺め酒を飲む。極楽極楽。

 温泉は共同浴場(上の湯)は無色透明。葉山館内湯はちょっと茶色く濁った鉄の気配が感じられる湯。どちらもとても気分良し。とにかくこの葉山館はお勧めだ。(2001.8.4)

【葉山館・肘折温泉】
・ 電話:0233-76-2326
・ 料金:5500円(1泊2食半自炊)
・ 設備:自炊スペース、冷蔵庫、テレビ、その他詳細は未確認
・ 立派な木造日本家屋。建具も素晴らしい。布団も快適で連泊したかった。

 【「ほっとゆだ」駅】

 【横手焼きそば、500円、キャベツ、卵を混ぜて食べるのが正式だとか。】

 【肘折温泉・上の湯共同浴場。透明な湯が溢れる】

 【葉山館内湯。ちょっと濁った湯が溢れる】

 【夕食は半自炊に持参のすき焼き】

【温泉街では、夜になると東北の美術系大学とタイアップした行灯が揺れる】

2011年8月3日水曜日

東北自炊旅-3



● 三日目・夏油温泉(元湯夏油)泊

 当初の計画では滝ノ上温泉から千沼ケ原に登る予定だったけど、天候は一向に回復しない。特に秋田から岩手に入った途端、さらに天候も悪くなった。太平洋側の東北が霧に覆われる典型的な冷害なのか。

 滝ノ上温泉は開けた谷だけれど、人気の少ない谷筋の温泉。ガスに覆われた谷筋の温泉ではさすがに気勢が上がらない。別の温泉に転進することにした。行先は北上市郊外の夏油温泉。夏油温泉は多くの露天風呂を備えたこの道(どの道?)では有名な湯治場だ。

 途中、早池峰神社と遠野に寄ってみた。早池峰神社では8月1日に全国的にも有名な早池峰神楽が行われる。今から20年近く前、早池峰岳へ登りに来たとき、その早池峰神楽に偶然行き当たったことがあった。大変込み合ったのを覚えている。今回はその神楽の二日後に来た訳だが、神社のある岳の集落はひっそりと人気も無い。ただ、各家の縁側には色鮮やかな神楽の衣装ようなものが干してあるのが、数日前の気配を伝えている。

 早池峰神社は大きな杉木立に囲まれた、立派な神社だ。境内には早池峰神楽の資料館のような施設があるものの閉まっていた。まあ神楽の日以外はほとんど訪問者も無いので、閉まっているのも無理は無いかもしれない。

 早池峰神社から遠野へ回り、柳田邦夫、河童、座敷わらしの充満する街で語り部・菊池玉さんの昔話を聞くのも面白かった。

 夏油温泉は北上市の南西30キロほど。焼石岳の登山口にもなっているみたい。天気がよければ、途中の駒ケ岳、牛形山辺りに登るところなんだが天候は一向に回復しない。今まで気にはなっていたけど「夏」の「油」なんて、なんと暑苦しい名前なんだろう。そんな暑苦しさに、なんとなく敬遠していたけど、夏油川に沿って車を走らせるとき見た、温泉近くのブナ林の美しさは一級品かもしれない。

 心細くなるほど曲がりくねった山道を走ると、突然、大きな温泉が現れる。こんな山奥に昔から賑わっていた湯治場があるなんてちょっとした驚きだ。そこには夏油温泉以外何も無い。元湯夏油の自炊棟はハッキリ言って「スゴイ」そして「ボロイ」。でも、これも「アジ」と言えば言えなくも無い。まあ、私のようなマニア以外は避けたほうが無難かもしれない。

 部屋の窓枠はちょっと歪んでいる。さらに網戸は無い。持参する蚊取り線香をつける。夕食は早池峰神社へ行く前に寄った小岩井農場で買ったチーズをウイスキーに放り込んでコンロで暖めチーズフォンデュ。それが今夜のメインディッシュだ。鉛のように重い布団に苦戦しつつなんとか眠った。(2011.8.3)

【元湯夏油・夏油温泉】
・ 電話:090-5834-5151
・ 料金:3687円
・ 設備:ガス(有料メーター付き)、洗濯機(有料)
・ 内湯2、露天風呂5。各温泉はそれぞれ湧出している場所に湯船があるとか、それぞれ泉質、湯温が異なり温泉自体はなかなか良いかも。

 【早池峰神社】

 【早池峰神社参道の杉並木】


 【遠野な入った途端にある千葉家の曲屋は想像以上に大きい】

 【語り部の館】

 【自炊宿・夏油館の看板。シブイ!】

 【夏油館露天風呂・大湯外観】

【夏油館露天風呂・大湯内部】