● 三日目・夏油温泉(元湯夏油)泊
当初の計画では滝ノ上温泉から千沼ケ原に登る予定だったけど、天候は一向に回復しない。特に秋田から岩手に入った途端、さらに天候も悪くなった。太平洋側の東北が霧に覆われる典型的な冷害なのか。
滝ノ上温泉は開けた谷だけれど、人気の少ない谷筋の温泉。ガスに覆われた谷筋の温泉ではさすがに気勢が上がらない。別の温泉に転進することにした。行先は北上市郊外の夏油温泉。夏油温泉は多くの露天風呂を備えたこの道(どの道?)では有名な湯治場だ。
途中、早池峰神社と遠野に寄ってみた。早池峰神社では8月1日に全国的にも有名な早池峰神楽が行われる。今から20年近く前、早池峰岳へ登りに来たとき、その早池峰神楽に偶然行き当たったことがあった。大変込み合ったのを覚えている。今回はその神楽の二日後に来た訳だが、神社のある岳の集落はひっそりと人気も無い。ただ、各家の縁側には色鮮やかな神楽の衣装ようなものが干してあるのが、数日前の気配を伝えている。
早池峰神社は大きな杉木立に囲まれた、立派な神社だ。境内には早池峰神楽の資料館のような施設があるものの閉まっていた。まあ神楽の日以外はほとんど訪問者も無いので、閉まっているのも無理は無いかもしれない。
早池峰神社から遠野へ回り、柳田邦夫、河童、座敷わらしの充満する街で語り部・菊池玉さんの昔話を聞くのも面白かった。
夏油温泉は北上市の南西30キロほど。焼石岳の登山口にもなっているみたい。天気がよければ、途中の駒ケ岳、牛形山辺りに登るところなんだが天候は一向に回復しない。今まで気にはなっていたけど「夏」の「油」なんて、なんと暑苦しい名前なんだろう。そんな暑苦しさに、なんとなく敬遠していたけど、夏油川に沿って車を走らせるとき見た、温泉近くのブナ林の美しさは一級品かもしれない。
心細くなるほど曲がりくねった山道を走ると、突然、大きな温泉が現れる。こんな山奥に昔から賑わっていた湯治場があるなんてちょっとした驚きだ。そこには夏油温泉以外何も無い。元湯夏油の自炊棟はハッキリ言って「スゴイ」そして「ボロイ」。でも、これも「アジ」と言えば言えなくも無い。まあ、私のようなマニア以外は避けたほうが無難かもしれない。
部屋の窓枠はちょっと歪んでいる。さらに網戸は無い。持参する蚊取り線香をつける。夕食は早池峰神社へ行く前に寄った小岩井農場で買ったチーズをウイスキーに放り込んでコンロで暖めチーズフォンデュ。それが今夜のメインディッシュだ。鉛のように重い布団に苦戦しつつなんとか眠った。(2011.8.3)
【元湯夏油・夏油温泉】
・ 電話:090-5834-5151
・ 料金:3687円
・ 設備:ガス(有料メーター付き)、洗濯機(有料)
・ 内湯2、露天風呂5。各温泉はそれぞれ湧出している場所に湯船があるとか、それぞれ泉質、湯温が異なり温泉自体はなかなか良いかも。
【早池峰神社】
【早池峰神社参道の杉並木】
【遠野な入った途端にある千葉家の曲屋は想像以上に大きい】
【語り部の館】
【自炊宿・夏油館の看板。シブイ!】
【夏油館露天風呂・大湯外観】
【夏油館露天風呂・大湯内部】
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